運が悪かった、としかいいようがない




僕のアパートの横には、サンティパープ公園がある。

噴水を2つ備えた、緑多きこの公園の外周は700メートルちょっと。マラソンをするには最適の公園だ。



ということで、僕は肩が凝ると、必ずこの公園に行って走ることにしている。肩こりは、要するに血行の問題、と信じてやまないからだ。

だいたい普段、少ないときで6周、多いときでは9周、ゆっくりと走るようにしている。



そして今日も、夜の公園をゆっくりと走った。夜なのに異常に蒸し暑く、汗が噴出した。でも、それが、逆に走ってる感を高め、僕の気持ちと肩を爽快にさせていた。



しかし、5周目を過ぎたあたりから、事態が変わった。

後ろからけっこうなスピードで走ってくる足音。そして、西洋人が勢いよく、僕を抜き去って行った。

「おー。すごいスピードだねぇ」

などと思いながら、僕は自分のペースを崩すことなく走っていた。

すると、その西洋人。僕を抜き去ってから30メートルほどで、突然、スピーディな走りから一転して歩行に変えたのだ。

「そうか、ラストスパートの走りだったわけか」

と思いながら、結局僕は、歩行者としての彼を追い越した。まぁ、自然の理だろう。

すると、どうだ。その西洋人。また、ダッシュをして僕を追い抜き、しかも、また30メートル先で歩行を始めたのだ。



ここから2人の、まったくもって無意味な、抜いたり抜かれたりの攻防が始まった。

いや、実際には僕は自分のペースを崩さないで走っていたにすぎない。

だが、結果として抜いたり抜かれたりの構図になってしまうのだ。

なにしろ彼は、僕を抜いては歩き、僕に抜かれてはまたダッシュして・・・を繰り返すのだ。



ぜひとも想像して欲しいが、これはなんとも鬱陶しい。

「なんだよ。その走りは!」

って、西洋人のケツを思いっきり蹴り上げたくなる衝動を抑えるのに、こちらは必死だ。

まぁ、もしかしたら、彼のマラソンのスタイルは、走っては歩き、歩いては走るというものなのかもしれない。だとしたら、なんて迷惑なスタイルなんだろう。

誰か注意したりしなかったのだろうか。たとえば体育教師とかさ。

そして、そんなスタイル保持者のランナーと、たまたま同じ時間帯に当たってしまった僕は、なんと運が悪いのだろう。



結局、彼とは2周にわたってデッドヒートを繰り返していた。

運が悪かった、としかいいようがない。




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