ラオスの長距離バスでの、孤独な戦いについて記そう。
今回僕は、ビエンチャンからルアンパバーンへ、長距離バスを利用してみた。
バンコクからタイーラオスの国境ノンカイまではVIPを利用し、その快適さを満喫したことで味をしめた、といってしまえばそれまでかもしれない。
そんな快適な旅をどこかで期待していたのだ。
ところがどっこい、どうやら僕はラオスをなめていたようだ。
VIPとは名ばかり。外見はそれなりに立派でも、内部はお世辞にも綺麗とは言いがたい。
トイレもない。
妙な匂いも漂う。
どういった意味でのVIPなのだろうか。
で、席も半端ない狭さだ。
一番前に座していたのだが、普通に座っていてもひざがつかえてしまう。浅く座ろうものなら、ひざが痛くて悲鳴をあげ、変な方向に向かわざるを得ない。
また、それだけでも十分に過酷なのに、隣に座った小さい中華系ラオス男が妙に勝ち気。
中華系ラオス男はどうやらグループで来ていた。そのため、大勢で来ているという安心感が気を大きくさせたのだろうか。
あるいは純粋に中華性か。
はっきりとした理由は定かではないが、妙に勝ち気に足を広げる。中華系ラオス男の足は明らかに、僕のテリトリーに侵入しているのだ。
そのため、自然とこっちは足を狭めざるを得ない。
とはいえ、ルアンパバーンまでは10時間以上の旅路。そんな勝ち気な中華系ラオス男にテリトリーを侵略されっぱなしでいるわけにはいかない。下手すれば、足をつってしまう。バスの中で足をつる男、というのは滑稽に過ぎる。
そう考えた僕は足を広げ、自分のテリトリーを取り戻す作戦にでる。
バスの揺れにあわせて徐々に広げる足。
次第に強く触れ合う、モモとモモ。そして、膝と膝。相当に気持ち悪い。
早く気づけ!いや、頼む。気づいてくれ!
「しまった。ここは彼のテリトリーだった。僕はいつの間に彼のテリトリーに侵入していたようだ。これはいかん、いかん」と。
しかし、その中華系ラオス人は一切気づくそぶりをみせない。男同士のモモ、および膝のふれあいをも、なんとも思っていないようだ。
次第に、いらだってきた。
しかも、である。
中華系ラオス男は、座席前方にある台の上に、突然、荷物をドカッと置いた。台の上にもともとあったごみを僕のほうに押しのけて、だ。
その荷物は明らかに僕のテリトリー内も侵犯していた。
ビエンチャンールアンパバーンの道のりは、90%が山道で悪路。
がたがたと揺れたり、くねくねと道が曲がるたびに、その荷物が右往左往する。
僕は荷物が落ちるのではないかと、要らぬ心配をしてしまい、気が気でない。
ついつい、荷物の行方を目で追ってしまう。
人の領域を犯すような男のかばんなのだから放っておけばよいのだが、内心、「かばんの中に壊れやすいもの入っていないだろうか?」などと考えてしまう自分が情けない。
しかも、中華系ラオス男はそんな僕の気遣い知るよしも無く、お構い無しでグループの連中と中国語で話したり、眠ってみたりしている。
右往左往する荷物。その行方を追う僕。おしゃべりに興じる中華系ラオス男・・・
いやはや。一人で妙に気苦労している日本人の姿が、そこにある。
そんなわけで僕は、仕方なく足を狭め、かつなるべく荷物の事を気にしないようにしてバスの道のりを過ごした。
道はがたがたで、無理して寝ている間に何度も、何度も窓に頭をぶつけた。
縮こまっていることもあり、熟睡できない。過酷な道のり。
すっかり夜明けを迎えたルアンパバーンに到着したのは、出発して11時間以上が経過したときだった。
到着したとき、隣の中華系ラオス男は、友人に向かって言った。
「いやぁ、全然熟睡できなかった・・・」
「なっ!?」
それが、このときの僕の気持ちである。
宿に入ってすぐ、シャワーを浴びた。
頭にたんこぶがあった。何年ぶりだろう、たんこぶなんて・・・なんだか悲しくなった。
帰りは、飛行機を利用したことは想像に難くないはず、である。
応援のほど、よろしくお願いいたします
にほんブログ村
今回僕は、ビエンチャンからルアンパバーンへ、長距離バスを利用してみた。
バンコクからタイーラオスの国境ノンカイまではVIPを利用し、その快適さを満喫したことで味をしめた、といってしまえばそれまでかもしれない。
そんな快適な旅をどこかで期待していたのだ。
ところがどっこい、どうやら僕はラオスをなめていたようだ。
VIPとは名ばかり。外見はそれなりに立派でも、内部はお世辞にも綺麗とは言いがたい。
トイレもない。
妙な匂いも漂う。
どういった意味でのVIPなのだろうか。
で、席も半端ない狭さだ。
一番前に座していたのだが、普通に座っていてもひざがつかえてしまう。浅く座ろうものなら、ひざが痛くて悲鳴をあげ、変な方向に向かわざるを得ない。
また、それだけでも十分に過酷なのに、隣に座った小さい中華系ラオス男が妙に勝ち気。
中華系ラオス男はどうやらグループで来ていた。そのため、大勢で来ているという安心感が気を大きくさせたのだろうか。
あるいは純粋に中華性か。
はっきりとした理由は定かではないが、妙に勝ち気に足を広げる。中華系ラオス男の足は明らかに、僕のテリトリーに侵入しているのだ。
そのため、自然とこっちは足を狭めざるを得ない。
とはいえ、ルアンパバーンまでは10時間以上の旅路。そんな勝ち気な中華系ラオス男にテリトリーを侵略されっぱなしでいるわけにはいかない。下手すれば、足をつってしまう。バスの中で足をつる男、というのは滑稽に過ぎる。
そう考えた僕は足を広げ、自分のテリトリーを取り戻す作戦にでる。
バスの揺れにあわせて徐々に広げる足。
次第に強く触れ合う、モモとモモ。そして、膝と膝。相当に気持ち悪い。
早く気づけ!いや、頼む。気づいてくれ!
「しまった。ここは彼のテリトリーだった。僕はいつの間に彼のテリトリーに侵入していたようだ。これはいかん、いかん」と。
しかし、その中華系ラオス人は一切気づくそぶりをみせない。男同士のモモ、および膝のふれあいをも、なんとも思っていないようだ。
次第に、いらだってきた。
しかも、である。
中華系ラオス男は、座席前方にある台の上に、突然、荷物をドカッと置いた。台の上にもともとあったごみを僕のほうに押しのけて、だ。
その荷物は明らかに僕のテリトリー内も侵犯していた。
ビエンチャンールアンパバーンの道のりは、90%が山道で悪路。
がたがたと揺れたり、くねくねと道が曲がるたびに、その荷物が右往左往する。
僕は荷物が落ちるのではないかと、要らぬ心配をしてしまい、気が気でない。
ついつい、荷物の行方を目で追ってしまう。
人の領域を犯すような男のかばんなのだから放っておけばよいのだが、内心、「かばんの中に壊れやすいもの入っていないだろうか?」などと考えてしまう自分が情けない。
しかも、中華系ラオス男はそんな僕の気遣い知るよしも無く、お構い無しでグループの連中と中国語で話したり、眠ってみたりしている。
右往左往する荷物。その行方を追う僕。おしゃべりに興じる中華系ラオス男・・・
いやはや。一人で妙に気苦労している日本人の姿が、そこにある。
そんなわけで僕は、仕方なく足を狭め、かつなるべく荷物の事を気にしないようにしてバスの道のりを過ごした。
道はがたがたで、無理して寝ている間に何度も、何度も窓に頭をぶつけた。
縮こまっていることもあり、熟睡できない。過酷な道のり。
すっかり夜明けを迎えたルアンパバーンに到着したのは、出発して11時間以上が経過したときだった。
到着したとき、隣の中華系ラオス男は、友人に向かって言った。
「いやぁ、全然熟睡できなかった・・・」
「なっ!?」
それが、このときの僕の気持ちである。
宿に入ってすぐ、シャワーを浴びた。
頭にたんこぶがあった。何年ぶりだろう、たんこぶなんて・・・なんだか悲しくなった。
帰りは、飛行機を利用したことは想像に難くないはず、である。
応援のほど、よろしくお願いいたします
にほんブログ村