合理的だなぁ。

きっと、クルクルと新聞紙を丸めて、中にサッと入れる。

そんな感じだろう。


シンプルでかっこいい、っていつも道を歩いていて思う。


まっ、こっちのほうがもっとシンプルか。



でも、雨に弱いにもほどがあるか・・・


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ディンデーン交差点近くの教会へ散歩。



そこで、神父が信者との別れ際に、ワーイ(タイ式挨拶:合掌)をしているのを目の当たりにした。

「神父もタイ式挨拶なんだぁ」と、それはそれで、驚きだった。


まぁ、余談はさておき、僕が「タイ」「キリスト」のキーワードで頭に浮かぶは、安井てつ氏のことだ。(以下敬称略)

自由主義的キリスト教徒の安井てつは、1904年から3年間、バンコクのラーチニー(皇后)女学校の教育主任として働いた。(学校はパーククローン市場やワットポーの近く)



彼女がバンコクにいる間、日本の親友に宛てて書いた手紙は、当時の安井やバンコクの状況を伝えていて面白い。


”日々あつくて実に閉口、夜も寝室をとぢて(盗賊の恐れあれば)蚊帳の中に入ると汗がぐつしより、ハンケチでふきゝ、団扇であふぎゝ、苦しみつゝ終に疲れてねむる様、時には我ながらかはいそうに候、懐剣はあまり短くて却りて危険、私は長き鉄の棒を寝室に置きて毎夜やすみ申候”


赴任したての頃の手紙だが、暑さにまいり、盗賊におびえる安井の心情を察する。

今のバンコクなんて、ましなほうだろう。


だが、最初に赴任した場より新校舎へ移ってから、状況は良くなっている。

”此度移つた学校ハメナン河の岸にある官様の御家、庭もひろく、家も立派で実に御大名になつた心持がしますよ、・・・・各室皆電気燈の設があり、又客間と食堂ニハ(エレキトリック、ファン電扇)がありますよ、併倹約して平生ハつかひません、私の室のまえニハ・・・「メナン」河を見はらすのですよ・・・”

扇風機を倹約か。僕がエアコンをあまり使わない、みたいなもんか。

そして、メナン河(チャオプラヤー河)の景色を楽しむ、安井てつ。

チャオプラヤーに惹かれるのは、時代を越えて、誰もが一緒だな。



そして、チャオプラヤーを眺めていた時代から17年後、彼女は新渡戸稲造の後を継いで、東京女子大学の学長になる。

人に歴史あり、だなぁ。


ちなみに、僕の中学・高校は、東京女子大のすぐ近くで、冬の体育の授業は、女子大の周りをマラソンした。

マラソンは通称、「女子大」。


中学・高校時代、そして現在のバンコク。

安井てつとは、何かと接点がある気がする。


まぁ、単に気のせいだろうけど。



参考:友杉孝『図説―バンコク歴史散歩 (都市散歩シリーズ)


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陰暦11月の満月の夜、メコンに棲む竜神が”火の玉”を吐く。

今日が、実は”その日”だ。





”バンファイ・パヤナーク(竜の火の玉)”と呼ばれる火の玉が打ちあがるのは、タイーラオスの国境を流れるメコン川で、特にノーンカイ県付近が有名である。

陰暦11月の満月の日は、安居を終えるオークパンサー(出安居)の日にあたり、なぜかその日の夜にだけ、メコンの水面から謎の火の玉が、飛び出すのだ。





ポンポンポン!

火の玉は上空100~150mまで打ちあがり、観客を興奮させる。


して、この火の玉。

打ちあがる理由はいまだ不明だ。


単に花火が火の玉に見える、ラオス側の兵隊が鉄砲を撃っている、などといった人為的な理由を挙げる者もあれば、メコンの川底で発生したガスが、満月の引力との関係で水面に浮かんで、地上に打ちあがるという自然現象を理由としてあげる者もいる。

現時点では、自然現象の説が有力だが、詳しいメカニズムは不明。また、距離の長いメコン川のなかで何故イサーン沿いのメコン川でしか見られないのか、といった疑問も残る。


とまぁ、こうして科学的な根拠は不明なままなのだが、しかし地元のタイやラオスの人々は信じている。

         ”メコン川に棲む竜が、火の玉を吐いている” と。



映像の老人たちは、子供の頃から火の玉が飛んでいたことを証言し、その神秘性を強調している。

多くの人々が、メコンの神秘を一目見ようと現地に訪れ、竜神を祀る。


映像を見ていると、火の玉が水面から飛び出す”本当の理由”なんて不明なままのほうがいいような気がする。

竜神が火の玉を吐いていると信じているほうが、よほどロマンにあふれ、魅力的ではないか。



これを記している17時45分現在、おそらく多くの人々がメコン川沿いに座って、竜神が火の玉を吐くのを待っているはずである。去年は50発ほど確認できたらしいが、今年はいかほどであろう。

現地に行けない僕は、「そろそろ、テレビ中継も入るはずだ」などと思っているところである。


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Bodyslam。タイで人気のグループだ。





そのBodyslamの”ความรักクワームラック(愛)””คิดฮอดキットホート(恋しい)”を歌うラオスの歌い手の映像である。

キットホートはこのブログにて歌詞を日本語訳したことがあるが、ラオの伝統音楽モーラムとのコラボ曲ということで、ラオスでもやはり人気が高かった。

それ以外も、演奏される曲はほぼタイのものであり、それにあわせてラオスの若者たちが歌い、踊る。

タイ音楽のラオスへの影響力に驚かされた。


よく、「音楽に国境はない」という言葉を聴く。

たしかに、ラオスへの浸透ぶりを見れば、納得いく言葉だ。


ただ、音楽は、越境するとはいっても、それはあくまでも一方通行的な性格のものである。

たとえば、ラオス人がタイや西洋の音楽を好意的に受け入れ、ラオスにそれらがますます浸透したとしても、その逆は圧倒的に少ないものだ。



それは、音楽自体の良し悪しの問題ではない。

音楽の背後にひかえる”文化”の問題である。文化の影響力の問題である。

その国の文化の影響力が強ければ、文化の一部としての音楽も受容されるわけだ。

その意味で言えば、タイはラオスにとって大きな影響力を持つ文化を担っている。タイの発信する文化はラオス側に好意的に受け入れられている。



タイとラオスの関係史は、決して明るいものとは言い難い。ラオスにとっては、”下に扱われてきた”歴史であろう。

それでも、タイの音楽を好意的に受け入れ、皆で歌い踊る。

あらためて、民族的、歴史的なへだたりやわだかまりを少しずつ溶かしていく文化のパワーを感じる。



国という枠組みに視点を置いた場合、経済的、あるいは武力的な優位性だけで議論することは今後難しい。いかに国の魅力を自ら発見し、表現・発信するか。それが問われていくだろう。

なぁんてことを、名も知れぬラオス歌手によるBodyslamを聞きながら感じたのだった。

ってまぁ、2ヶ月ほど前のことだけど...


ちなみに、映像はラオス・ビエンチャンにある”タワンデーン”という店。タワンデーンはバンコクにおいてはドイツ・ビアホールの店として有名だが、どうやらビエンチャンのそれは無関係のようだった。


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最近、雨が降り続いている。

タイの各地、特に東北部イサーンでは洪水が発生し、大変なことになっている。

道路は川と化し、水深1m以上になってしまった、なんて土地もざらだ。


ニュースは連日、各地の被害状況を伝え、道を舟で行きかう人びとや、水田が水に浸かっている様子を映し出している。

各地で義捐金が集められ、王室は1千万バーツの援助を決定したらしい。


そんな厳しい状況下。あるタイ人は言った。

”バンコクも近いうちに大洪水に見舞われる。そして、海抜の低いこの地域は一気に沈んでしまう”と。


まぁ、未来予想の実際は別として、確かにバンコクは洪水が多い。ちょっと雨が降り続けば、すぐに道は水浸しになる。

そしてそれは、今も昔も変わらない。

そんな様子を伝えてくれるのが、冒頭であげた映像だ。

今から70年ほど前、1942年のバンコクにおける洪水被害を伝えるものである。


映像は、今もバンコクの観光名所として名高い場所を映している。

旧国­会議事堂 → ラーマ5世騎馬像 → 王宮周辺 → 民主記念塔 → ファランポーン駅 → ヤワラート(­中華街) → ラーマ6世像前 → アヌサワリーチャイ(戦勝記念塔) → 旧国会議事堂 、と。


当時の舟やバス、路面電車、街並み、そして人びと。

王宮周辺や中華街付近は人も多く、活気がある。

しかし、かつて僕が住んでいたアヌサワリー(戦勝記念塔)周辺の、何も無い情景には驚かされる。当時はこのあたりは街外れ、だったのだろう。

当然のことながら、街は大きく拡大、変貌したのだ。

とはいえ、映像に映し出されるタイ人たちの、ほのぼのとした人懐っこい笑顔。それはあまり変わっていない印象である。




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裸の男が、踊りながら道を歩き、豪快に火を吹いた。


絶妙のタイミングでシャッターが切れたため、最初にアップしてみたものの、別に、この火吹き男が祭りのメインではない。



火吹き男を撮影したのは、バンコク・シーロム通りのワット・ケーク(ケーク寺)。インド寺として名高い寺院だ。

そのケーク寺にて先日、”ダサラー”、あるいは”ナヴァラートリー”と呼ばれるヒンドゥー教の祭りがあったのだ。

祭りは、ヒンドゥー教における女神達が、邪悪なアスラ達に勝利したことをお祝いするために祈りをささげるという、女神を祀るものである。

そのため、色とりどりの供え物に飾られた女神たちが沿道を埋めつくす。






通りは人であふれかえる。





祭壇の前では、信者たちがインド音楽に合わせて踊り、祈りをささげる。





トランス状態になって、踊りたくる呪術者も多い。






ときおり奇声を発することもあり、見ているこちらはドキリとさせられる。





一般の人々はこぞって呪術を施してもらう。幸福、健康など願いは様々であろう。





祭壇の前には様々な呪術師がいて、一般の人々は各々相談をしていたが、個人的に言わせてもらえば、この男性はどうも信用しがたい。


喫煙しながら相談を受けるって。笑  僕ならば、絶対に相談しないだろう。

(ただ、かばうつもりはないが、話しぶりはフランクで人がよさそうだった)




で、次の映像の女性は、ロウソクを口に含んだあとに、一般の人に息を吹きかけて呪術していた。



でも、それよりも、後ろで無我夢中で踊る女性が気になって仕方ない。

当初、「森三中か!」って内心思ったのだが、どうもしっくりこない。


で、ビデオを見直していて気づいた。

「そうか、板尾の嫁(「ガキの使い」より)風なんだ!」

板尾の嫁の迫力ある神がかり的なダンスは、ここに由来していたのだな。 

(まぁ、知らないけど)



というわけで、なかなか珍しいヒンドゥー祭り。

バンコクでヒンドゥー教の祭りが盛大に行われ、タイ人もこぞって訪れタンブン(積徳行)するのも、タイが他宗教に寛容な宗教=仏教国であり、そして徳につながればなんでもやるというタイ人の国民性あってかな?

って、仏教はヒンドゥー教の一分派か。



それにしても祭りの後はいつも寂しい。

バスから見る情景も、なんだか物悲しげにうつる。



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前回の続きである。ここで、共同体の闇の部分や人間の本質的な恐ろしさが明らかになる。


儀礼3日目。




まだ、どうやら6匹のピーポープ=胆喰いの霊がいるとのこと。

ということで、ヨーイどん!で棒をもった男が村の徘徊を始める。


相変わらず男たちはトランス状態で、道端でばたりなんて光景も見られる。

そして僧侶は相変わらずの脚力をみせつけている。


儀礼初日から続く光景がまた繰り広げられ、ちょっと中だるみ的な3日目が終わった。

胆喰いの霊は、全8匹のうち6匹、捕獲されたとのこと。残り2匹!だ。



儀礼4日目。(2:20)

人形はある家へと男を導いた。

そこは、村の祠での儀礼を司るヂャムと言われる者の家だ。(ヂャムは村の草分けの人間が世襲しているケースが多い。毎年祠での儀礼だけでなく、かつては村の決まりごと、たとえば村長を決めるなどにおいてもこのヂャムが祠に伺いをたてていた:赤木攻『復刻版 タイの政治文化―剛と柔』)

変なおやじが、妙に胡散臭い表情をして、家の中を徘徊する。(3:07)

そこで発見されるシープンといわれる呪術の道具。(3:35)これを唇に塗ると、希望することが成就するといわれている。

そしてついに、胡散臭い表情のおやじは2人の前で止まった。

胡散臭げに棒を振り回す。(3:43)

この2人が肝喰いの霊に憑かれている、としたのだ。(4:00)


指摘されたほうは、悲惨である。村人から胆喰いの霊として扱われてしまうのだ。

そこで女性の主人は、必死に弁解する。

女性は精神の病を患っていて、3年以上通院している。胆喰いの霊がとり憑いているわけではない。我々の家が商売繁盛していることに対しての嫉妬心から、胆喰いの霊に憑かれているとでっち上げられている、と。

しかし、村人そんな言葉を信じようとはしない。

胡散臭い表情の男は、家の前で胡散臭げに棒をぐるぐる振り回し、最後は胡散臭げに道端に倒れこんだ。(5:15)

ということで、2人は儀礼を受けることで、2人の中に巣食う胆喰いの霊が祓われることになったのである。(5:50)



広場に、捕獲された霊を入れた壷、つまり卵が詰まった壷が置かれた。

そして、肝喰いの霊にとり憑かれた女性に糸が巻きつけらて、卵を焼く場とつなげられる。

おびえる女性。


僧侶は呪文を唱え、その後に糸を切り、女性と卵焼きの場を離した。

これにより、女性の中にいた肝喰いの霊は、卵を焼く場に閉じ込められたのだ。


点火される卵を焼く場。(0:45)大きく燃える炎は、村に巣食う霊のすべてを焼き祓ったのだった。



村人は語る。

”もうサバーイ(心地いい)だ。眠りも快適で、うれしい。”(1:02)


僧侶は語る。

”肝喰いの霊は、誰にでもとり憑く。人々の弱き心に入りこむのだ。”


このように、皆が霊の存在を信じているわけだが、当の憑かれたと確定された女性は語る。

”別に霊にとり憑かれていたわけではない。でも儀礼に応じたのは、それで村人が安心するならば、という思いだけ”と。

彼女は村人からのでっち上げに屈するしかなかったわけだ。そしてこの先ずっと、肝喰いの霊に憑かれた女性として村人から見られ、ひっそりと生きていくことが強いられるのである。



このように肝喰いの霊を払う儀礼はイサーンの各地で見られるが(3:50)、その度に、肝喰いの霊に憑かれている人間が取り上げられて、儀礼の”犠牲”になっている。

たとえば、4:30に出てくる女性。この女性は、肝喰いの霊としてでっち上げられ村から追い出された人の孫にあたる。彼女は語る。

”村で不審な死が発生したときに、肝喰いの霊のせいで死人がでたと評判が立った。しかも、その霊とは祖母ではないかと誰かが言い出した。そして皆がそれを信じてしまった。そのため、祖母は村にいることができず、遠い地へ越した。一度言われてしまったら、皆がそれを信じるので、言われたほうがそれを覆すことはできない”



村の平穏のために、村から排除されて犠牲になった人間は数知れない。こんなケースは太古の昔からあったことだろう。共同体のもつ闇の部分である。

タイでは、近代化がすすむ現状を憂い、過去の共同体を美化する議論がある。しかし、一見、平和で美しく穏やかな共同体の裏には、それを守るための犠牲者や暗い歴史があることも事実である。村から排除された犠牲者があってこそ、共同体の秩序は保たれてきたのだ。


ピーポープ=胆喰いの霊。村人はその霊の恐ろしさを語る。

でも、結局のところ、霊なんかより、人間の心そのもののほうがよっぽど怖え、って話である。


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胆喰いの霊を捕まえる儀礼。

前回の続きである。




地面に向かって、何度も何度も人形を叩きつけ、トランス状態に陥る若者。

あまりに叩きつけるため、人形は大破。棒だけの状態になる。(0:26)

しかし、それでも若者は棒だけを持って、村内を縦横無尽に走り回る。

寺・木の上・屋根の上・・・場所は、所かまわない。


そして、棒が霊の所在を伝えると、今度は皆でそこに向かって特別な卵を投げつける。(1:36)

何個も、何個もだ。

で、投げ終わった後、皆でその地点に向かい、割れていない卵を回収する。

なぜならば、割れなかった卵の中には、封じ込めた霊がいるから、と考えるからだ。

そのため、割れなかった卵は、霊が外に出ないよう、厳重に壷の中に入れられる。(1:55)

こうして走り回ること、4時間以上。初日の儀礼は幕を閉じた。



2日目。

その日も、人形を持った男の先導で、村人は走る。まさに、ダッシュだ。

そんな中、大きな霊が姿を現した。

場所は村の祠(サーン・プーター)。村人にとって最も重要な信仰の場の一つである。

発狂する棒を持った男。(4:25)

祠を棒でガンガン叩く。



そこである事実が発覚した。

この祠には、巨大な霊とともに、黒呪術の呪文が書かれた紙が存在したのだ。(5:16)

黒呪術とは、ある人間に不幸や災いをもたらすために行われるものである。日本ではわら人形に釘を打ち込む、といった行為が知られている。

そんな恐ろしき黒呪術の呪文が書かれた紙が置かれていたのである。

というわけで、どうやら、この呪文に対して、男の持った棒が強く反応したらしい。


こうして、巨大な霊との格闘があった儀礼2日目は、2匹のピーポープを捕獲することで幕が閉じられた。



※※※

さて、さて。

ここで特徴的なことは、棒を持った人間が、神がかりの状態になってトランスを起こすことである。

彼らは、「棒が勝手に動き出した」「何か別の魂が体の中に入り込んだ感じになった」「誰かに強く引っ張られている感じだった」などという。


男連中が繰り広げる、トランスと狂気。

そして語られる、霊の憑依。

彼らの言葉を信じる、信じないは別として、実際に彼らの異常な精神状態と行動が、村人たちの目の前で繰り広げられることは、村人の霊へのリアリティを少なからず高めることにつながる。

そして、それは、村の平穏を願う人々のパワーを最大限に引き出すために重要な意味を持つことになるだろう。

つまり、男たちの行為が狂気じみていればいるほど、異常であればあるほど、村人の不安感と平穏への願望は強まり、そのため儀礼終了後の日常における秩序の安定に結実していくのだ。


というわけで、儀礼3日目以降に関しては、つづきで。


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さて、ピーポープ(胆喰いの霊)の続きである。


胆喰いの霊ピーポープを追い払う儀礼のTV映像を紹介、抄訳したい。





(0:00~司会者による紹介)
タイ・イサーンのコーンケン県パーサーン村。

この村にて、1ヶ月の間に、2人の人間が突然死をとげた。死因は心臓発作。

しかし、村人は胆喰いの霊ピー・ポープによって死んだと信じて疑わない。そこで、村では大々的に霊祓いの儀礼が実施された。



(映像で0:50~)
日が暮れて、夕食を済ますと、村人はすぐに眠りにつく。なぜならば、霊が襲ってくるのを恐れているからだ。


(1:22~)
霊を恐れる村人は、”バイナート”(タカサゴキク)という、霊を追い払うことができると言われる葉を玄関前に置き、霊の家への侵入を防ぐ。


(1:38~)
ある女性は語る。「怖い。夜はどこも出られない。父母と子供、皆寄り添って眠る」


(1:44~)
ある女性も語る。「もし儀礼を行わなければ、あと8人の死者が出ると言われている」



(1:55~)
この村での恐怖は、42歳の女性とその親戚の男性(49歳)が突然死したことに始まる。

2人の立て続けの突然死。村人はこの不審な死を目の当たりにして思う。

これは、胆喰いの霊によるものじゃないか、と。


(2:43~)
亡くなった男性の奥さんは語る。

「胆喰いの霊にちがいない。なぜならば、主人は10年来にわたって心臓病を患っていた。でも、このタイミング(女性が死んですぐに)で亡くなるのはおかしい。立て続けに死ぬというのは、胆喰いの霊のせいに他ならない」


(3:03~)
また、ある女性は語る。

「1人目の死者がでたとき、あともう1人、同じような死に方をすると噂された。そして実際、犠牲者はすぐにでた。1ヶ月もしないうちにね。2人目の死者は、胆食いの霊からもらった酒を呑み、家に戻ってそのまま死んだ」


医者は、2人の死は心臓発作によるものとしたが、村人は信じず、更なる犠牲者を恐れ、胆喰いの霊を祓う儀礼を実行することにした。



(4:10~)
2009年6月9日。

100人の村人が儀礼のために集まってきた。皆、霊を信じ、それを祓うために。

そして、村人に招かれた僧侶たちは、まずはじめに、卵に模様を書きはじめた。これによって卵は、普通の卵から特別な卵へ、つまり、霊を捕まえる”武器”になったのだ。


(5:28)
次に、僧侶はびく(魚を入れる竹籠)を使って、人形を作った。この人形が、村にどれほどの霊がいるか、そしてどこにいるかを示してくれるのだ。

(5:54)
僧侶は、読経によって、人形に魂を入れる。

すると、2人の男に支えられた人形は大きく動き始めた。これは、魂が人形に入り込んだことを示すのだ。

トランス状態になる男たち。

どうやら、村には8匹(”匹”でいいのかな?)のピーポープと、ピープラーイという幽霊が多数いることが人形によって教えられた。


(7:04)
いよいよ、霊を捕まえ祓う儀礼が開始された。

人形を持った男2人は、とり憑かれたように村内を走りはじめた。人形が、霊のいる場所に向かって、男2人を引っ張っているといったほうが正しいだろうか。

そして、それを必死に追う、僧侶と村人。

2人の男がある場所に立ち止まり、ここに霊がいることを知らせる。

・・・・



卵がどのように使われるのか、男たちはどうなっていくのか、続きは、また次回に紹介したい。


それにしても、ある僧侶の走りは、井出らっきょさんを髣髴させる、すばらしいものである。ちょっと笑ってしまったのは、不謹慎だろうか?

というわけで、またつづく


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「親戚が、胆喰いの霊(ピー・ポープ)にとり憑かれたことがあってさ」

「胆喰いの霊?」


「そう。胆を喰う霊。その親戚は80歳を超えたばあさんだったんだけど、ある日を境に、誰とも口をききたがらなくなってな。で、高齢で歯もほとんど抜け落ちているにもかかわらず、生の鶏を喰らうようになった」

「生の・・・」


「言動も不可解。これはおかしい・・・まさか・・・ということで、村のモータム(除霊師)に相談したんだ。そしたら、案の定、ばあさんは胆喰いの霊にとり憑かれていてな。霊祓いの儀礼を行うことになった」

「霊祓いの儀礼ですか?」


「ああ。まず、ばあさんの体に、ワーンという葉っぱをこすりつける。もし、霊がいる部位に葉があたると、ばあさんは『痛い、痛い』と叫ぶんだ。そこで、モータムは聴く。『お前は誰だ?なぜこの体に憑いている?』と。しかし、霊は答えない」

「そこで、今度は木を使って体を叩いていくんだ。そうすると、霊は『痛い、痛い』と叫んで。そして、モータムが『そんなに痛いのならば、この体から出て行け!』と一喝。すると霊は観念したのか『分かった』と言った」

「で、モータムは扉を開けるように人々に促すとともに、扉の前に立たない様に注意した。別の体に霊がのり移っては困るからな。そうして、無事ばあさんの体から霊は出て行って、ばあさんは元気になったんだよ」

「へぇ」


「でも、まぁ、その後、幾年か経て、結局高齢で死んじまったけどな。はっはっは」

そこで笑う意味は分からなかった。




イサーンの人に伺った話である。

イサーンやタイ北部の人々は、今でも人にとり憑く悪霊の存在を信じてやまない。

世代は関係ない。

年寄りだろうが若い人だろうが、胆喰いの霊を信じている。



では、実際に肝喰いの霊とはどういったものだろうか。


タイの柳田國男的存在、アヌマーン・ラーチャトンによると、胆喰いの霊に関して、次のような特徴がある。


〇人が誰かを呪うことで、呪われた人間がとり憑かれる。

〇胆喰いの霊は、とり憑いた人間の摂取する食べ物を糧にする。よって、憑かれた人間はガリガリにやせ衰える。最後には、肝をはじめとした内臓すべてが喰われて死んでしまう。

〇憑かれた人間は異常な行動をとるので、すぐに分かる。ひとりでにペラペラとしゃべったりするという。

〇憑かれた人間は、その家族ともに村から追放される。

〇胆喰いの霊が恐れるのは、呪医、除霊師、カミの化身といわれる僧侶。この三者のみが胆喰いの霊を駆逐できる。



また、村人の話では、胆喰いの霊は遺伝する。そのため、家族もろとも村から追い出されるわけだ。

胆食いの霊に憑かれた家族は、人目を避けるように放浪の旅に出る。しかし、なかなか定住先が見つからない。

そして、最後には、胆喰いの霊に憑かれた者たちが集まって住む集落に行き着くらしいのだが、その所在は村人も知らないとか。



まぁ、現在においては、村から追い出すまではいかないらしいが、しかし、霊の存在は深く信じられているし、霊祓いの儀礼も行われている。

そこで、次回は、昨年にとある村で大々的に霊を追い祓う儀礼が行われた模様を放映したTV番組を紹介したい。


というわけで、つづく


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最近、バンコクに戻ってきている。

バンコクの喧騒は相変わらずで、田舎の静けさを懐かしく思わんでもないが、それでもやはりバンコクには魅せられる。


しかも、慣れ親しんだランナム通りを離れ、そこから徒歩で15分ほどのディンデーンに、今は滞在しているので、街の雰囲気が異なっていて刺激的だ。

「たかが徒歩15分で」と思うかもしれないが、これがまた大きく違うものだ。



ランナム通りは日本人をはじめとして、多くの外国人が住む。

キングパワーという免税店もある。

そして綺麗に整備されたサンティパープ公園もある。

そのため、ある程度環境の整った町並みだ。

(まぁ、ランナムは赤シャツの騒ぎの真っ只中にあって、銃撃戦なんかがあったことは、置いておいて・・・)



しかし、ディンデーンは下町情緒丸出し。

喧騒と活気、パワーに満ち満ちているのだ。

四六時中行きかうトゥクトゥクとバイクの音は、なんともけたたましい。



夕方になると、ソイ(路地)には子供たちが遊びまわっている声がこだまする。これもまた、けたたましい。

そして、おっちゃんたちもビールやウイスキーを片手に、そんな子供たちを見ながら、ダラダラと過ごしている。これは、羨ましい。

そう。

いうならば、秋本治氏の描く、少年時代の両津勘吉が過ごした町並みを彷彿させるのだ。

というわけで、歩いていると、今にも両さんが飛び出してきそうで、なんとなくワクワクする。

僕は彼の大ファンなのである。



さて、晩飯を食うために、きったないお粥屋に足を運ぶ。


これだけの下町情緒の中で、これだけきったないお粥屋は美味いに決まっている。僕の根拠の無い思い込みだ。

店に入ると、沢山のおっさんたちが、ビールを飲んで熱っぽく語っている。



つまみが妙に美味そうだ。店はきったない。

「これは正解だな」と思いつつ、お粥と野菜の煮込みを頼む。

かなりのスピードで、料理が運ばれてきた。

そして、かなりの旨み。

下町の、汚くて安い料理屋ほど美味いはず!という僕の予想は、はずれることがなかったのである

下町パワー、圧巻。


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