「さあ、授業だ」

いつものように、がらりとドアーを開ける。



あれ???生徒が4人しかいない。

その日の授業の生徒は、15人。

いつも、ワイワイと元気よく、そのくせ授業や活動には熱心に取り組む2年生だ。

それが、4人とはあり得ない。


「先生。みな今日はお休みです」




「うそ〜マジで!?…いやいや、ちょっと待てよ。さっき○○に会ったぞ」

「ああ、○○は…はい、さっき用事があると言って帰っちゃいました」




「マジで〜!?いやいや、そういえば俺今日、朝、△△と□□と偶然一緒にアパートを出たぞ」

「いや、2人は確かに朝の授業はいたんですけど、体調が悪いと言って帰っちゃいました」




「嘘だ〜。2人ともそろって?」

「でも、本当に帰っちゃったんです」


今になって思えば、僕の質問に答える生徒の目は泳いでいたのだが、その時は現に大半の生徒がいないことに対して驚いていた。

「おい、おい。4人かよ〜。じゃあ、今日授業どうする?」

そう言ったとき、後ろの方から物音が聞こえた。

何かが動いた。

「あー!いた!」

ついつい、まるで子供のように叫んでしまった34歳。


すると、いちばん後ろにごちゃごちゃ置かれた物陰から、




あるいは、前によけられていた教壇の中から




10人以上の生徒が

「うわ〜い!先生、だまされた〜!」

そういって、男も女もわんさかと出てきた。

よくこんな人数うまく隠れられたな、というくらい出てくる。


「先生、びっくりした、びっくりした? 笑」

「少し悲しかった?笑」

「まったくお前ら、いくつだよ!」


そうは言ったが、実際、ちょっとホッとした自分がいた。

まさかボイコットか!?と頭を少しかすめていただけに、やはり嬉しかったのだ。


「くそ〜むかついた。今日はテストからやるぞ!」

「ええ〜」


皆で狭いところで必死に寄り添って小さくなっていたため「暑い、暑い」言いながら、生徒達は配られたテストを始めた。

まだ興奮しているのか、クスクス笑っている。

「先生の驚いた顔…」

「今度はどこに隠れてみる…」

そんなことを話しながらペンを進める。

そして、次第に真面目になった。


遊ぶときはおもいっきり遊んで、やるときはちゃんとやる。

そんなメリハリがはっきりしているのが、2年生のいいところである。

それにしても、ホッとした。


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イサーンの村の夕食前。



     
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僕は、バンコクのチュラブックセンター前で、朝8時半のオープンを待っていた。

どこからともなく、読経が聞こえる。

オープンと同時に並みいる人びとをかき分けて急いで本屋に入るというわけではないので、ふらりとその読経の方に向かう。

ちょうど人びとが、僧侶に托鉢しているところだった。




なんだろう?

そう思って周囲を見渡すと、牛。

物憂げに僕を見つめていた。





これは牛の命を救うことで徳を積もう!ていう、いわば放生会。

プローイ・コーといわれる。

人びとはこぞって、喜捨をする。

また、花びらを購入し、牛にかけてやる。




花びらをかけられた牛は、少し困惑気味だ。



なんともいえない、目をしている。




人間の側は徳を積むという明確な目的に従い、祈る。

しかし動物はそんなことは知ったことではない。

「なんでおれ、今日いっぱいかけられてるんだ…」

そんな風に思っているかどうかは知らないが、でもなんとなくそう見える。



それは、江戸時代に広重が描いた「深川万年橋」の亀を彷彿させるムードである。



万年橋の「万年」と亀の「万年」にかけて描かれたこの亀は、江戸時代、亀の放生が行われていたことを示すという。

どこか物憂げで、可愛らしく、そして困惑した感じを受ける。

放生する側とされる側の意識の大きなギャップ。

放生会の場の独特なムードを生みだす余地は、そこにあるに違いない。



とまあ、よくわからないことを書いたが、牛の放生会を調べていたら、放生会を実施するタイのグループがFacebook上にあるのを知った。

色々な意味で、なかなかのページだ。


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いつもいつも、田舎の話ばかりな僕。

でも、先週は珍しく、バンコクの都会的な場所に行ってきた。

BIG ASSのライブだ。



誘って下さったのは、タイのエンターテイメントに関して、こんなに詳しく綴り続けている方は他にはいないだろというkapirajaさん

たまたまお互い、時期を同じくしてバンコクだったので合流したのだ。



他にもタイミュージック大好き、かつ超お詳しい友人の方々も交え、4人でライブに向かう。

で、到着したライブハウスはなかなかハイソなムード。

(写真ではそうでもなさそうだけど…)




それだけで、なんだかドキドキするロッブリー在住者。

しばらく皆でウイスキーを傾けつつ、BIG ASSの登場をいまかと待つ。



僕は、タイの飲み屋でライブを見たことがあるのはSek LosoやBody Slum

いつも決まって、深夜にライブは始まった。

始まるまでは高揚感に身を任せてグビグビ呑むので、ライブが始まるときにはかなり酔っていて気持ちがいい。


で、今回もやはり、そうだった。

結構いい感じに酔っぱらってきたとき、BIG ASSは登場した。



新しいヴォーカルに変わったBIG ASS。


かなり力強く、かっこ良かった。

相当にノってしまった。





嵐のように盛り上がった彼らのライブは、あっという間に終わってしまい、そして彼らははけて行った。



「さ、次行きましょう」

さすがにタイの音楽大好きな方々。

BIG ASSが終わると、速攻で次の場所へ。



向かった先は、イサーン歌謡のコンサート会場。



なかなかのムードの違いだが、これはこれで面白い。



客層もがらりと変わる。

BIG ASSは若い客、しかもどこか都会の匂いただよう人たちが多かった。

しかし、イサーンのコンサート会場の方は、若い客ももちろんだか、年配の方も混ざって皆踊りまくっている。

どちらも異質なムードだが、でもえらくパワフルだったことは共通していた。

やはり音楽の力は偉大だ。


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「りょうた。せっかくだから、インラック首相を迎える大学の準備の様子を見に行くか」

昨日の夜、先生たちとお酒を呑み、帰りに車で家まで送ってもらうときニウェート先生に言われた。



実は来週、大学にインラック首相が訪れる。

そのため、大学は大忙し。

厳重な警備体制をしき、かつ、キャンパスの環境を整えなくてはならないのだ。



「いいね。行ってみよう」

僕はニウェート先生に言った。



深夜12時をまわった大学に入り込むということで、少しワクワクする。

静まり返った学校に忍び込む、そう、気分は青春時代だ。

と思いきや、大学内はトラックや、工事人らでとても騒がしい。

電気も煌々とつけられていた。



インラック首相が訪れるという、大学内でいちばん新しいビルに入る。

「ここがインラック首相らが会議を行う部屋だ」



先生が言った。

あ、蛾だ。


部屋を覗いて見ると、ちょうどカーペットの敷きかえが行われていた。



先生によると、首相を迎えるために、全てが新調される。

壁紙も、





クーラーも、



トイレも、




すべてである。



その予算は、僕も聞いたが、とんでもない額だ。

それが政府からの命令で行われている。

「とんでもなく税金の…」

僕だけでなく、先生陣はみな思っているようだが、おおっぴらには言えない。



ある部屋にいったら、ニウェート先生が工事人に妙に歓迎されていた。

渡されるタバコ。

僕にもそれは渡された。

彼らは、仕事をしつつも、夜中ということで、ビールを呑みながら、一服している。

ワイワイと、語り合う先生と工事人。





しばらく談笑し、大学をあとにした。



「工事の人はロッブリーの人たちなの?」

僕は聞いた。

「いや、彼らはバンコクから来ている」

「へ〜。バンコクの人なんだ」

「いや、彼らは全員、イサーンの人だ」



首相を一日迎えるためだけに、大掛かりな工事をしなくてはならない、地方の国立大学。そして、それを担うイサーンの人たち。

なんだか、タイ社会の縮図をみたような、そんな気がした。


ところで、そのイサーンの人たちの日当をニウェート先生から聞いて、少し驚いた。

僕が思っていたよりもずっといい額をもらっていたからである。

なにごとも、イメージだけで決めつけてはだめだなぁ。


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最近やたらと雨が降るロッブリーの町。

昨日も、美しき夕焼け空なのに実は大雨、という変な天気。




そのあと、雨は一晩中降り続いた。



で、今日の朝。

仕事前に町へと散歩にくり出すと、昨日の雨で濡れたアスファルトが何とも美しい光をはなっていた。



光に照らされた朝の町を歩いていると、今日一日、何かいいことがありそうな気がしてしまう、単純な僕。



足どり軽く町をぐんぐん歩き、ロッブリーの駅を抜けると、足下にカタツムリがいた。





ロッブリーのシンボルである猿のオブジェをバックに、のんびりと濡れた地面を這っている。

ほのぼのとしていて、なんだかさっそくいいことがあったような、そんな気になる単純な僕であった。




そして、このブログを認めている今もまた、ロッブリーは大雨だ。

空は、雷が轟音をたてている。


でも明日、きっとまた晴れるはず。

新しい光に満ちた朝を期待しながら、今、雨音を聞いているのである。




それにしても、猿のオブジェは迫力がある。


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日本と中国の文化を、タイの田舎の子供達に伝える大学のイベント。

その模様はコチラを見ていただくとして…。



昼休憩時、ブラブラと1人、学校を歩いてみる。

小学校の教室。



う〜。懐かしい!

というにしては、ちょいと部屋のムードが日本のとは違うかもしれない。

さすがに王様の写真が多いし、妙に色彩豊かな気もする。

天上の巨大扇風機も、南国感がある。




当然ながら、日本のような達磨ストーブもない。(古い?)

でも、なんだかキュンとなる。(古い?)



「コンニチハ〜」

知っている単語を言って、ピースを僕に送ってくる子達。



なんとも、女の子は可愛らしい。



で、ワイワイと騒がしい場に行ってみると、そこは元気な男の集団。





妙に、盛り上がっている。





覗いて見ると、どうやらコマの対決をしているようだ。

日本の古き下町っ子が、ベーゴマをしているようなもんだろう。

両津の世界だ。



そうこうしていると、「日本語を教えて」の声。

「へい、へい」と、ペンをとる。



「ナーラックは?」

「ゴートは?」

「ラック・トゥーは?」

言われるごとに、「かわいい」「抱きしめる」「あなたを愛してる」などとタイ語で書く。


子供達は「ダキシメル…」とか「アイシテル…」などとモゴモゴ言ってる。

妙にませたセリフを覚えようとしていることはさておき、皆、日本語に興味をもっていて…



発音だけじゃなく、ひらがなも真似して書く。




まるでおっさんのような貫禄を備えたこの少年も、必死だ。




「違うよ」

女の子に注意されている。

どこの社会も、なんだか男は弱い。




元気で、可愛らしい、タイの子供達。



どこの国も小学校は活気あふれている。


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愛しきイサーンの子供たち、遊び方を知らない僕。
「アリガトウ!」と少女。連鎖する幸せ。
イサーンでサソリ。ボーと子供。



     
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