「いいか、リョウタ。ここは、タイで一番美しい大学なんだぞ」


タイのゲーテ先生は何かというと、「一番○○だ」と言う。

他にも一番○○はありそうな気がして、僕はいつも笑ってしまう。


それはさておき、先生の言う一番美しい大学。

それは、チェンライ県のメーファー・ルアン大学である。

敷地の広大さのハンパなさに関する説明は、校内にゴルフ場があるということだけで、もう十分であろう。

そして確かに美しかった。


この大学は、異国からの学生を沢山受け入れて、インターナショナルな場づくりに力を入れている。

ミャンマーをはじめとした東南アジアの学生や、中国雲南からの学生が多くいるという。

日本人も何人か、勉強しているとか…

ゴールデントライアングルと言われたこの辺りは今や、教育の場として人々を集めるようになりつつあるのだ。


さて、ここの大学の芸術関係の先生に、校内を案内してもらった。

中国語勉強のための建物に行ったのだが、これが驚いた。

そこはまるっきり中国。

門構えが、中華風なのはもちろん、



言語と文化を掲げた扉を抜けると、



完全なる中国。

噴水が心地いい。



静かな廊下を歩き、孔子学院につくと、



学生が勉強をしている。



教室も中国なら、控え室も中国。



もちろん、外の憩いの場も、しかりである。



「いいか。リョウタ。自国にいながら異国語を学ぶというのは、こういうのが大事なんだぞ。

言語を学ぶというのは、文化を勉強すること。

だから、言語を勉強するためには、環境もそろえなくてはいけない。

見てみろリョウタ。ここは、一歩踏み入れたら、タイの中でも完全に中国だろう。


そんな環境で、言葉と文化を学ぶことが大事なんだ。

今、ロッブリーの日本語学科の部屋は、一歩足をふみ入れたら日本!ってなっているか?」


思い返すと、我が大学の日本語学科の部屋は、正直、一歩足を踏み入れても、完全にタイ・ロッブリー。

残念ながら、日本らしい気分には全くならないのが実情なのだ。


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「あれは、竹でできた仏塔です。

まだ新しいのですが、実は、お寺の計画ではあれを黒にしようかと考えたんです。

自然との調和や、仏塔そのものの持つ意味を考えて。

でも、村人に反対されて、結局、どこにでも見られる金色になったんです。

やはり、仏塔は金というイメージは根深いんですね」


そう語ったのは、チェンラーイ県のとある寺で出家中の西洋人僧侶である。

現在、欧米の大学の博士課程に在籍しているという彼は、タイの仏塔を調査しに留学にきていて、僧侶になったらしい。

とはいえ、まだ僧侶になって数日とのことだったが…。


さて、チェンライに連れて行ってくれたタイのゲーテ先生によると、竹でできた仏塔はタイ内でここにしかないとのことである。

仏塔は、タイ語でチェディー。

それは、墓地としての塔である。

起源としては、インドの古代神話である。


神話によると、地下には、死者が眠る冥界がひろがる。

万物を生みだす女神も、死後、冥界に横たわっている。

地上としてのこの世で生きる全てのものが、この女神の体から生まれる。

植物も動物も、人間もだ。


こうした、この世ー冥界の考え方を基礎として、仏塔は墓としてあつかわれる。

冥界に潜みうごめく圧倒的な力が、まるで自己の存在を示すかのようにわいて盛り上がる死者の塔としての仏塔。

それは、形を変えてこの世にニョキッと出現した冥界のシンボルなのだ。


本来的にそうした意味をもつ仏塔が、なぜ竹で作られたのか。詳しい理由はここではよくわからない。

しかし、寺の人が試みた「黒き仏塔」というのは、死者の冥界を表象する点からすると、あながち間違っていないんじゃなかろうか。



ただ、まあ、こうして白黒にして見ると、妙に怖いのは確かである。


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「世界にただ1つのお祭り」

サラブリー県で最も有名な寺、ワット・プラプッタバートでの祭りー花托鉢祭りーにつけられているキャッチフレーズである。

2001年からはじまったこの祭りは、毎年カオパンサー(入安居)に行われる。

ニュースによると数千人の僧侶に花を托鉢するというから、驚きだ。


数年前に僕が書いた入安居に関するBlog記事では、花祭りについて少し触れられていた。(すっかり忘れていたが…)

「…ちなみに、カオ・パンサーにおいて僧侶に花を献上する寺は、バンコク内では4寺。他県では1つしかないとのこと。それがどこかは、聞き取れなかった。 いかんせん眠気眼だったのだ。」

何とも緊張感のない文章で締めくくられているのが気になるところだが、どうやら「他県の1つ」とやらが、サラブリー県の祭りのようだ。

ここにきて、長年の謎が解かれたのである。(すっかり忘れていたのだが…)


というわけで、まあ、この時点で、祭りのキャッチフレーズ ー世界にただ1つのお祭りー の信憑性が疑われるわけだが、そこは触れないでおいて、せっかくサラブリーのお隣、ロッブリーに住んでいるのだ。

ちょいと、お祭りに行ってみた。


ロッブリーから、バンで20分ほど。あっさりと寺の参道入口に到着である。




参道から寺までは少しあるので、サムローに乗ってみる。


風を切って駆け抜けるおっちゃんの後ろ姿は、なかなかの年季を感じさせる。


渋滞を抜けて、寺に到着すると、人でごったがえしていた。

さすが、有名なお祭りである。


寺の前では花が売られている。



黄色とピンクの花は春らしくて、かわいらしい。

もちろん、実際は、春の陽気とはほど遠い。


こんな感じでセットを購入。



これを一輪づつ、線香とセットで、お坊さんに托鉢するのだ。

人でごった返す中、托鉢できそうな場所を探す。



ちょうどお坊さんがスタンバイしているところが、あいていたので、一緒に始まりを待つ。


「なかなか始まりませんね」

「いろいろと準備しているようだからなあ」

お坊さんは言った。


「君はどこの国の出身だい?」

「日本でございます」

「ほう。そうか。タイ語が喋れるのは、バンコクで仕事しているのかい?」

「いいえ、ロッブリーで仕事をしており…」

一応お坊さんということで至極丁寧な口調を心がけた会話は、先頭のお坊さんが動きだしたことで遮られた。

花托鉢の始まりである。


みなが、道を歩くお坊さんに花を托鉢する。



また、足に水をかけて清めたりもする。





僕も、同じように花を托鉢し、足を清めた。

ものの2分。

僕の托鉢は終了した。


うん、気分はいい。

とはいえ、これで帰るのもなんである。

本堂に行ってみることにする。



日光は容赦なく人々を照らしており、僕は汗が吹き出る。

寺に入ると、お坊さんが聖水を参拝客にふりかけていた。






参拝客は恭しく、それを浴びる。


寺の中は何処もごった返しており、「こりゃ、平日静かなときにゆっくり見た方がいいな」という気持ちに少しなる。


ただ、たくさんの人が並んでいる所が、妙に気になる。

今か今か、と何かを待つ、参拝者達の姿がそこにあった。

僕も一緒に並んでみる。



「中へどうぞ!」

声とともに、人々はきらびやかな内部へとなだれ込んだ。

僕も押されるように入る。



少し、アトラクション気味だ。

なるほど、ブッダの足跡である。

金色に光る足跡は、かなりのご利益が期待できそうだ。





参拝客は、足跡にお金をいれたり、あるいは足跡内の金ぱくを少しとっておでこにつけたりして、お祈りする。

タイでのお祈りの姿は、美しい。


僕も周りの人に従って、おでこに金をつけて、健康を祈願した。



こうしてプラプッタバート寺をあとにし、ロッブリーへと戻る。

「あれ、リョウタ。もしかしてプラプッタバート寺にタンブンに行きました?」

帰宅途中、たまたま道で知り合いに会って、言われた。


「ええ。どうして分かるんですか?」

「そのおでこを見れば、分かりますよ。ははは」


アパートに帰って鏡を見ると、妙にきらびやかな顔がうつし出された。

キン肉マンのでこの「肉」くらい、とまではいかないが、それでもあまりに広範囲にわたってピカピカと光り輝いている。

少し欲張って、付け過ぎたようである。


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